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公務員の“高給取り”をどうとらえるか?――人事コンサルタント、前田卓三さん(前編)(Business Media 誠)

 昨秋以来の「事業仕分け」は、日本の公的組織にいかにムダが多いか、その一端を具体的に示し得た点では評価すべきものであったろう。しかし、その一方において、「では、そうした仕分けの結果、本当にムダが減るのか?」「本当に日本は良くなるのか?」という点に関しては、まだまだ不透明なままではないだろうか。

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 そうした国民注視の仕分け騒動をよそに、国会の場では日本全体の今後の浮沈に関わる、ある重要な論議がなされていた。それはバブル崩壊以降、日本がなすすべもなく停滞し、国際的なプレゼンスを低下させている要因として、中央官庁や地方自治体、民間企業など、日本の大多数の組織が「人」基準で運営されていることを挙げ、「1日も早く、『仕事』基準へと移行すべきである」という論議だ。

 2月2日の国会の代表質問でみんなの党の渡辺喜美代表が提起したことに端を発する議論であるが、この仕事基準の概念と、その実現ツールを構築し、実績を挙げてきたのが、今回の主役である前田卓三さんだ。

 前田さんは、慶応義塾大学卒業後、ニューヨークとロンドンに留学。外資系企業数社で活躍し、経営コンサルティング会社プライスウォーターハウスクーパースGHRS(現プライスウォーターハウスクーパース)の会長などを歴任後、現在、ヒューマンキャピタルソリューション研究所の代表を務めている。

 日本を代表するグローバル企業はもとより、地方の中小企業への仕事基準導入を通じて、それら企業の経営を成功へと導き、現在は中央官庁や地方自治体の改革を視野に、日本再生への端緒を作ろうと奮闘中である。

 そこで、まず前編では、前田さんの理論の概要をできるだけ分かりやすくご紹介し、後編ではこの理論を構築するに至った経緯から、その導入事例、そして、今後、その理論を通じて日本を再生してゆくに当たっての展望や課題などについて明らかにしたい。

●日本の停滞は人基準が原因、偽装・隠ぺい事件はその典型例

 「現在の日本の停滞の要因は、日本の企業や中央官庁、地方自治体の組織運営が、人基準で行われていることにあります。

 人基準とは、『年功』『学歴(学閥)』『家柄(閨閥)』『上司と部下の人間関係』『国籍(人種)』『宗教』『性別』といった人間の属性に基づいて評価する考え方です。分かりやすく言えば、『人をレッテルで評価する』ということですね」

 確かにバブル崩壊後、日本では年功序列や終身雇用制が崩壊し、実力主義の時代にシフトしたかのように言われたものの、上記の諸要素から完全に自由な組織を見出すことは、非常に難しい。

 「そうなんですよ。こうした人基準には、透明性・公平性・合理性が欠けているので、役所にあっては、税金のムダ使いとその結果としての財政逼迫(ひっぱく)、企業にあっては、社員のモラール低下や生産性の低下、その結果としての国際競争力の喪失などの問題を生み出しています。

 ここ数年、食品業界を始め、いろいろな業界で発覚している偽装・隠蔽事件なども、人基準がもたらした悪しき例でしょう。

 経営者以下みんな、社内しか見ていないから、こういうことになるんです。密室の中で意思決定がなされ、創業ファミリー(あるいはワンマン経営者)とその顔色をうかがう一般社員という特殊な人間関係の中で、偽装・隠蔽が行われるケースが多いですよね。

 そして、それをバレずにうまくやりおおせた社員は出世しますし、逆に正論を述べて反対するような社員は出世もできず、時には組織から排除されます。

 こうした傾向が、日本社会の随所に見られるようになって、社会全体の活力にも大きな影響が出ています。本来であれば評価されてしかるべき価値ある意識や行動が無視され、つぶされることで、若い世代から夢を奪い、社会全体に言いようのない閉塞感を生み出しています」と前田さんは嘆息する。

 「日本の戦後復興や高度経済成長などの発展途上の時期には、人基準にも一定の有効性があったかもしれませんが、現代のように、グローバル市場で熾烈(しれつ)な競争環境に置かれている中にあっては、欧米先進企業(特に北欧と米国)が採用しているような仕事基準でないと、もはや戦えません。

 アジアでも、中国や韓国のグローバル企業は、仕事基準にシフトして競争力を強化しています。中国・韓国で仕事基準になっている企業の数は、日本の仕事基準企業よりもずっと多いと思いますよ」

●仕事基準とは何か?

 「人基準から仕事基準へとシフトすべし」と主張する前田氏だが、では、その仕事基準とはいったいどのようなものなのだろうか?

 「役所でも企業でも、組織の使命は価値の創造にあります。例えば、ユーザーが製品やサービスを購入しようという場合、その製造プロセスにおける属人的要素に関心を払うことなどありませんよね。あくまでも、その最終商品の価値(品質と価格)を見て購入の是非を決定します。

 それとまったく同じで、属人的要素(レッテル)からまったく自由になって、“市場(顧客)や納税者から見た仕事の価値”に評価の基準を置くのが仕事基準です。

 言い換えれば、『その組織の指向する価値創造にどれほど貢献するか』という観点から、その個人の価値創造レベルを客観的に評価し、それに見合った適正な報酬を支払うという考え方です。“仕事本位制”と表現しても良いでしょう。

 欧米では『人が人を評価してはいけない。人が評価できるのは仕事だけだ』というのが古くからの常識ですが、それはまさにこういうことなんです」

 確かに、昔から日本の無名の若者が何のツテもない欧米で、自分たちのプロダクトとか企画とかを大企業などにプレゼンテーションし、採用された例は枚挙に暇がない。これなど仕事基準の典型例であろう。日本だったら、ほとんどの場合、「どこの馬の骨とも知れない若造」と言われて門前払いを食らったり、提案内容を知らないうちにパクられたりして終わりである。

 さて、この仕事基準という考え方であるが、それを組織内でどのように制度化できるかが重要であろう。そこで、前田さんが構築した評価制度が「付加価値報酬制(CVA=Compensation by Value Added)」である。

 これは、15年以上前に、北欧のエリクソンやABBなどのグローバル企業が実験的に導入したコンセプトを発展させたものであるという。そして、この制度は、日本国内では花王やキヤノンなどのグローバル企業に導入したほか、地方の中小企業や事業再生中の企業、あるいはM&Aにおいても顕著な効果を発揮していると聞く。

●付加価値報酬制とは何か?

 「付加価値報酬制の最大の特徴は、価値の構成要素を3つのP(=ポジション、パフォーマンス、パーソン)でとらえ、これらに対して報酬を支払うことにあります。

 まず、“ポジション”。野球でいえば、例えばキャッチャーには、キャッチャーとして必ずやらなくてはいけない役割がたくさんありますよね。そうした役割(職責)の蓄積(=stock)がポジションなんです。

 このポジションは、「責任の大きさ」「仕事の難しさ」「影響の大きさ」という3つの側面から評価されます。

 そして、そのポジションに就いている人が、一定期間で新たな価値創造をどれほど達成するか(これは通常『目標』として掲げられる)、そのフロー・バリューを“パフォーマンス”と呼びます。キャッチャーだったら、「今シーズンの盗塁阻止率を●割●分に上げる」といったことですね。

 そして、3つ目が“パーソン”ですが、これは上記2つの要素のための必要条件です。キャッチャーだったら、強肩や技術といった他者から見える要素、そして沈着で冷静な判断力があるとか積極性があるといった、日本語で「●●力」とか「●●性」と表現される、ほかからよく見えない要素ですね。いわゆるコンピテンシーです」

 一時はプロ野球を目指した元野球少年の前田さんらしい、分かりやすい説明である。この3つのPに対して報酬を支払うとのことだが、では、その評価比率については、どのように考えればいいのだろうか?

 「管理職はパーソンの要素が満たされていることが前提なので、パーソンを省きます。そして例えば、人事や経理などの管理部門の管理職であれば、ポジション(基本給に該当)の占める比率が圧倒的に高くなりますし、営業部門などではポジションとパフォーマンスが、例えば5対5になったりします。

 また、管理職ではなく、職歴の浅い若手の場合には、例えばポジション5対パフォーマンス2対パーソン3になるなど、構成比率はケースにより多様です」

●付加価値報酬制には、恣意的につけいられるスキはないのか?

 しかし、こうした評価比率の決定が、組織内で恣意的になされる可能性はないのだろうか?

 特に、骨の髄まで人基準の組織が、世の中の流行に乗って仕事基準を導入するような場合には危うい。例えば、パフォーマンスの比率ばかり高くして過酷なノルマを課したり、パーソンの比率ばかり高くした上、その中身を属人的内容に変質させると、人基準をそれまで以上に強化する結果になる恐れもあるだろう。

 「そういう危険性はあります。実際、仕事基準を前提とする欧米企業の“成果主義”を、それまで人基準だった日本企業にそのまま移植することで、多くの企業は“ノルマ主義”に陥りました。

 それは、もともと日本にポジションの概念がないことに起因します。ポジションの概念が定着していれば、それぞれの職責に見合った価値創造が求められますし、それに対して報酬が支払われるのが当然の前提になっているので、パフォーマンスが比率的に突出するなどということはあり得ないのです。

 ちなみに日本では、ポジションではなく、“ポスト”という表現が好んで使われます。ポストは階層構造の1つの席を表し、そこに一度就いたら、仕事をしてもしなくても、そのポストに対して給料が支払われます。役所でも企業でも組織の上の方に、たいした仕事もしていないのに、なぜか高給の人がよくいるのはそのためです(笑)。

 だから、日本で仕事基準を実施するに際し重要なことは、ポストという考え方をなくし、ポジションをしっかりと位置付けた上で、その評価比率を絶対に5割以下にしないようにすることです。そうすることで、ノルマ主義はもとより、パーソンの比率ばかりを高めて、しかもその中身を変質させて人基準を強化するなどということもできなくなるでしょう。

 また、組織内でこの基準を採用するに際しての透明性や公平性、合理性を確保するために、成功した組織の事例などをベースに納得度の高いモデルを構築して、それをオープンにしておくことが必要だと思います。これは人基準では不可能です」

●あなたの給与は高すぎる? 低すぎる?

 ここで、読者のみなさまにとっても重大関心事と思われる、「現在の自分の給与がオーバーペイなのか、アンダーペイなのか」という論点について触れておきたい。

 まずは、下の図をご覧いただきたい。これは、職能資格制度を採用してきた歴史の長いメーカーの事例だ。

 「縦軸が基本給、横軸が仕事の価値(=PVI、Position Value Index)を表し、各点は個々の社員がどこに位置するかをプロットしています。右へ行くほど、仕事の価値が高いことを意味します。

 職能資格制度は、完全な人基準です。そのため、この図表に明らかなように、右の方に位置する価値の高い仕事をしている人々と、左の方に位置する価値の低い仕事をしている人々が、似たような給料になったり、あるいは、逆転していたりするケースが発生しているんです。これに対して、仕事基準の給与は、真ん中の赤いラインで示されます。

 この企業のようなケースが、中央官庁や地方自治体、大企業や全国の中小企業などに蔓延(まんえん)しており、組織構成員の意識や行動が価値創造と無関係な方向に向かってしまった大きな原因となっています。そして、これこそが、日本全体が競争力を失い、衰退している最大の原因です。付加価値報酬制は、まさに、こうした状況の革新を志向するものなのです」

 市場(顧客)や納税者からの視点で見た場合、自分自身の給与が果たして適正と言えるのか、ひょっとして低過ぎるのではないか、あるいは、まさかもらい過ぎなのか……、その疑問に答え、組織の経営を健全なものへと変えてくれるのが、この付加価値報酬制だと言えよう。

●バスの運転手の年収1300万円をどうとらえるか?

 ここで前田さんは、興味深い事例を1つ挙げてくれた。

 「以前、大阪市のバスのベテラン運転手さんの年収が1300万円であることが報じられて大きな話題になりましたよね。年功賃金でその金額になっているという、典型的な人基準です。

 仕事基準で考えれば、当然、是正されてしかるべきなのですが、そういう私の意見に対する反論もあったんです。それは、『たくさんの人の命を預かる大事な仕事なのだから、決して高過ぎる給与ではない』という反論です。

 しかし、バスの運転手というポジションは、その『責任の大きさ』『仕事の難しさ』『影響の大きさ』という点において、市場(顧客)や納税者から見て、年収1300万円こそが最も適正な金額だと言えますか?

 その金額は、あくまで年功という人基準に基づくものであって、仕事を通じた創出価値とは無関係なのです。しかも、バスの運転手さんに限らず、市のさまざまな部門で、そういう事態が生じているから問題なのです。

 仮にそれを容認した場合、では市の財政はそれでやっていけるのでしょうか? ずっと、それでやっていけるというのなら、まだ良いですよ……、でも、結局は財政難に陥って、十把一絡げの給与一律カットをしている自治体が非常に多いのです。

 日本全国の300万人弱の地方公務員の平均年収をご存じですか? 退職金部分や手当ても含めると、ざっと1000万円です。全員の平均がですよ。どんなに控え目に見ても、「3割はオーバーペイになっている」と私は思っています。それを是正するだけでも、税金の無駄はずいぶんと減るのではないでしょうか?

 つまり、ざっくり言って30兆円(1000万円×300万人)の3割、9兆円がオーバーペイになっている可能性が高いということです。日本全国で言うと、民間も入れた総給与額は260兆円(2008年度)ですから、低く見てその2割がオーバーペイとしても52兆円という莫大な額が、価値とは関係のないところに払われている可能性があるのです。このお金があれば日本の失業率をゼロにすることができますし、消費税を上げる必要もないのです。

 お金の問題だけではありません。今のような人基準のままでは、本当に価値の高い仕事をしている人はいつまでたっても報われません。ちゃんとやった人がきちんと報われる社会にして、日本を元気にしたいじゃないですか」

 ところが、そんな前田さんの思いと逆行する内容の報道が全国を駆けめぐった。それは6月8日早朝、TBS「みのもんたの朝ズバッ!」でのこと。日経HRの調査結果を紹介していたのだが、全国の親が子どもに望む就職先として、第1位の「三菱商事」に続いて、何と「地方公務員」が第2位に入ったのだ。

 「まさに人基準の最たるところに入ることが人生の幸せにつながるという発想ですね。これまでの日本とまったく変わらない、いや、ますます日本人が衰退への道を歩んでいることを実感させられ、背筋がぞっとする思いでした」

 さて、日本社会をめぐる事態の深刻さとともに、仕事基準の概要が、おぼろげながら見えてきたようだ。

 そこで後編では、理解をよりいっそう深めるために、事例を中心にして検討を加えていきたい。具体的には、前田さんがどういう経緯から、この理論を構築するに至ったのか、そして、実際にこの仕事基準を導入することで、どんな組織に何が起きたのかをご紹介したい。そして、今後、前田さんがこの手法を軸に日本を再生してゆくに当たって、克服しなければいけない課題についても考察していく。【嶋田淑之】

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コメント 4

ヵッォ

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次はセックヌ出来るやつ試してみるわw
by ヵッォ (2010-06-21 20:52) 

しぃちゃん

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by しぃちゃん (2010-07-06 02:55) 

TKTK

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こんないいのあるなら仕事辞めようかな(笑)
by TKTK (2010-08-11 22:59) 

チロロ軍曹

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by チロロ軍曹 (2010-09-15 17:53) 

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